5年生まほろば学習「人と環境に優しいバケツ稲づくり」
2学期編
 2学期に入り,収穫を迎えるころとなりました。夏休みに各自持ち帰ったバケツ稲の育ち具合は? そして「安全でおいしいお米」をたくさん味わうことができるでしょうか…
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9月初旬 穂が熟しつつあります…
 夏休み中,それぞれの家で育てられたバケツ稲がもどってきました。日当たりや水の与え方のちがい(?)でしょうか,育ち方には多少ばらつきがあったようですが… 9月10日頃には何とかほとんどのバケツ稲に穂が出てきました。よかった(^_^)
 そしてこの時期に忘れては行けないのが,実を狙ってやってくるスズメへの対策です。みんなはどんなくふうをしたでしょうか?

9月6日(火),それぞれの家にあったバケツ稲がすべてもどってきました。早速2学期最初の観察会。育ち方にどうしてもばらつきがあったのは仕方ないか… 最も育ちがよかったのは,やはり教師用のものでした。

どのバケツ稲にも穂が出そろい,熟しつつあるこの時期,大切なのはスズメ対策です。9月13日,最初にお目見えしたのがこの案山子?(漢字で書きました。読めるかな?)。どんな効果が期待できるかな?

9月16日(金)撮影の教師用バケツ稲。実が熟するにつれて,穂も葉も少しずつ黄色くなっていきます。ほかの人たちも早く追いついてくれ…

9月21日頃には,このようにいろいろなスズメ対策がなされました。空き缶や古CDを利用したり,ネットをかぶせたり,… 完全防備もいいですが,”費用”を割安にすることも必須課題です。
10月11日(火) ついに”稲刈り”!
 晩稲の稲とはいえ,ほとんどの稲が熟するまで,ずっと首を長くして稲刈りの日を待ち続けました。本来は出穂から40〜50日程度が刈り取りの目安とされていますが… ともあれ,今年は風水害や虫害などほとんどなく無事に収穫を迎えることができました。

10月11日(火),教師用のバケツ稲です。十分熟し切って収穫を待つばかりでした。いよいよ今日が刈り取りです。

どのバケツ稲も,このように見事黄金色の輝き!を放っています(ちょっとオーバー?)。これが最後の観察会で,観察ノートに記録しています。

教師用のバケツ稲で,”試し刈り”を行います。何度も稲刈りを経験している子どもたちですが,たった1株の貴重な稲を慎重に,慎重に…

さあ,いよいよ刈り取り開始!あっという間に終わるこの作業ですが,手塩をかけた稲だけに感激もひとしお。

同じ稲刈りでも,たくさんの収穫があった”どろんこ教室”とはまたちがった収穫の喜び!

刈り取った稲を天日干しにするために,束にする作業を行います。先日前田さんにも教わりましたが,きっちりとしばるのはなかなか難しい…このあと10日あまり干します。
10月25日(火)〜 脱穀・もみすり
 刈り取った稲は10日間ほど天日干しを行い,次の作業に移ります。脱穀(だっこく),もみすりです。脱穀は現代ならば稲刈りと同時にコンバインで終えてしまうもの。そしてもみすりは50年前にはとっくに機械化されていて,今ならばカントリーエレベータで全部やってくれるもの。しかしあえてすべてを自分たちの手作業にこだわってみました。その道のりは意外と長く…

脱穀は「こきばし」という,江戸時代中期に「千歯こき」が登場する以前の方法で。ここでは稲穂をわりばしではさんでもみを落とす方法です。意外に簡単に取れておもしろい!もっともそれは1株だけだから言えるのであって,本物だったらとてもやっていられない…

環境学習である以上,”リサイクル”も至上命題。脱穀し終えた”わら”をどのように利用するかを考えました。なわを作るなども考えたのですが,ビオトープにある生き物のすみかとして再利用することに決まりました。この中で虫たちが育っていくといいですね。

脱穀し終えたもみを,次はもみすりにかけます。すりばちを利用して,これがなかなか根気のいる作業です。休み時間や放課後にも少しずつ取り組んでいきました。

いろいろな方法を考えてはみたものの,今のところすりばちに野球ボールをすりつけるこの方法がベターのよう。もみがらは息で飛ばすので,そうじも大変…

写真左が脱穀し終えたあとのもみ,そして右側は,もみすりを終えた玄米です。このあとさらに精米の工程に入ります。

もみすりを終えてできた玄米を,一人ずつ計量していきます。平均すると50g前後,多くて80gくらい。思ったほど多くはありませんでした。果たしておにぎりはできるのでしょうか…
11月15日(火)〜 精米・米作りのまとめ
 思いの外手間がかかったもみすりを終え,次の精米を終えれば,”米作り”は完了! でもこれも根気のいる作業で,それぞれが時間を見つけての作業でした。そして,これまでの米作りをふり返り,パソコンにまとめる作業も始まりました。いよいよ”収穫感謝祭”に向けて,試食と発表の準備です。

始業前の朝の教室。”シャカシャカ…”響き渡る音。何をしているかと思えば,ひまを惜しんですりごきを使って精米に励んでいる姿。地道な努力が報われる日はもうすぐ…

これまでのバケツ稲づくりをふり返り,パソコンでまとめました。楽しかったこと,苦労したこと,うれしかったこと…。さまざまな思いがよみがえっていきます。

精米を終えて,ふるいでぬかをとり,いよいよ最後の計量です。すりこぎでたたきすぎて”くず米”になってしまった人もいましたが,全てを大切に使います。

クラス全員で収穫したお米の総量は約800g。体積にして7〜8合(1合=約180ml)といったところでしょうか。決して多くないお米ですが,みんなの努力のすべてがここにつまっています。